私が病院で緩和ケアやがん医療の心理士として働いていた時から、患者さんたちとの対話を通じて気づいた共通のテーマがあります。それは「医療者とのコミュニケーションの難しさ」です。
診察時間は限られており、その中で医師や看護師との信頼関係を築き、安心感を持ちながら治療を進めるのは容易なことではありません。診察後に「もっと聞けばよかった」と思ったり、あとから新たな疑問が浮かぶこともよくあります。また、患者さんが抱える不安や悩みを医療者に伝えた際、医療者側との間で温度差を感じることもあるようです。医師にとっては多くの患者さんの一人であるとしても、患者さんにとっては医師は「自分を治療してくれる大きな存在」です。そのギャップが、コミュニケーションの困難をさらに深める場合があります。
医療現場におけるコミュニケーションの課題は、患者さんにとっても医療者にとっても避けては通れない重要なテーマです。この壁をどのように乗り越え、患者さんが安心して治療に向き合える環境を作るかは、医療に関わる全ての人々が向き合うべき課題と言えるでしょう。次回のブログでは、この課題に対して私自身が心理士としてどのようにアプローチしてきたのか、そして現在取り組んでいるオンラインセカンドオピニオンとのつながりについてお話ししたいと思います。
患者さん一人ひとりが、自分らしい選択をしながら医療と向き合えるような未来を目指して――次回もぜひお読みいただけたら嬉しいです。
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