今回は、「がんとうつ」についてお話ししたいと思います。
がんと診断されることは、人生の中でもとても大きな出来事です。「まさか自分が…」「これからどうなってしまうのだろう…」そんな気持ちになるのは、ごく自然なことです。
実際、がん患者さんの 3~4割が「うつ状態」を経験する と言われています。でも、これは 決して特別なことではありません。むしろ、がんと向き合う多くの方が感じる、ごく当たり前の心の反応なんです。
がんを経験することで、心にはどんな変化が起こるのでしょう?
がんの診断を受けた直後や治療が進む中で、こんな気持ちになることはありませんか?
✔ 何もやる気が起きない✔ 気分が落ち込んで、涙が出てくる✔ 将来のことを考えると、不安で仕方ない✔ 家族や周りの人に迷惑をかけている気がする✔ 食欲がない、眠れない、身体が重い…
こうした状態は、がんによる 「うつ状態」 かもしれません。
「うつ」というと、特別な病気のように思われがちですが、がんという大きな出来事に直面したとき、人の心が大きく揺れるのは ごく自然なこと です。
がんに伴う「うつ状態」と、一般的なうつ病の違い
「もしかして、うつ病になってしまったのでは?」そう不安に思う方もいらっしゃるかもしれません。
がんとうつには、一般的なうつ病とは少し違う特徴があります。
🔵 一般的なうつ病→ 特に明確な原因がないことも多い
🔵 がんによる「うつ状態」→ がんの診断、治療、副作用、生活の変化がきっかけとなる
つまり、がんに伴う「うつ状態」は、がんという 大きな出来事に適応しようとする心の反応 なのです。
もしあなたが今、「気分が沈んでしまう…」「なぜか涙が出てくる…」と感じていたとしても、それは あなたが弱いからではありません。
がんに向き合うために、心が懸命に適応しようとしている証拠なんです。
心の負担を軽くするためにできること
がんとうまく付き合っていくために、心のケアもとても大切です。「うつ状態かも…」と感じたとき、試してほしいことがあります。
1. 誰かに気持ちを話してみる
ひとりで抱え込まず、家族や信頼できる人に話してみましょう。「こんなこと話してもいいのかな…?」と思うかもしれませんが、言葉にするだけで、気持ちが整理され、少し楽になることがあります。
2. 専門家に相談してみる
がんに関する メンタルケアの専門家 に話を聞いてもらうのも、一つの方法です。心理士や精神科の医師と話すことで、「今の気持ちは自然なことなんだ」と安心できるかもしれません。
3. 生活リズムを整える
無理のない範囲で体を動かす(軽い散歩でもOK)
できるだけ同じ時間に起きる・寝る
少しでも食べられるものを摂る
生活のリズムが整うと、心も落ち着きやすくなります。
4. 「今、できること」に目を向ける
未来のことを考えすぎると、不安が大きくなりがちです。「今日、気持ちよく過ごせることは何だろう?」と考えてみるだけでも、心の負担が少し軽くなるかもしれません。
「うつ状態かな?」と思ったら、ひとりで抱え込まないで
がんとうつは、決して切り離せないものです。「なんだか辛いな…」と感じたとき、それは あなただけではなく、多くのがん患者さんが経験すること です。
だからこそ、一人で頑張りすぎないでください。
今の気持ちを話せる相手がいないときは、オンラインの相談サービスやカウンセリングを利用するのも一つの手です。
💡 がんとうまく付き合っていくために、体だけでなく「心のケア」も大切にしていきましょう。
